食料自給率40%の日本では、トウモロコシはほぼ100%、大豆も95%以上がアメリカを中心とした国々からの輸入に頼っている。そのアメリカでは、1996年から遺伝子組み換え作物の商業栽培が始まり、すでにトウモロコシの85%以上、大豆の90%以上が遺伝子組み換えに切り替わっている。
日本に輸入された遺伝子組み換え作物は、食用油、でんぷん、アルコール、シロップ、家畜の飼料など様々な用途に使われ、私たちは直接間接に毎日摂取している。ところが日本の食品表示制度では、表示が義務化されている食品はごくわずか(味噌、ポテトチップス等)であるため、ほとんどの日本人は、遺伝子組み換え食品を食べていないような錯覚に陥っているが、「ほとんどの人が、毎日、知らずに食べている」のが実態だ。
本書は、遺伝子組み換え食品をめぐる問題の全容を、一般読者むけに平易に解説したもの。10年以上にわたるアメリカでの商業栽培の歴史の中で明らかになったさまざまな問題を、簡潔かつ過不足なく紹介している。遺伝子組み換え食品の影響は、実は健康だけでなく、農業や環境のありかたにまで及んでいることが見て取れる。
日本での食品表示制度などの実情についての訳者解説、監修者・福岡伸一氏のあとがき、さらに遺伝子組み換え食品を避けるための実際に役立つショッピングガイドがついた、わかりやすく役に立つ入門書。
単行本: 259ページ
出版社: 筑摩書房 (2009/09)
言語: 日本語
ISBN-10: 448087805X
ISBN-13: 978-4480878052
発売日: 2009/09
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